リレーエッセイ

私と漢方との出会い

私と漢方との出会い

リレーエッセイ | 第24号投稿記事(2024年5月)  若月 幸平 先生

私と漢方との出会い

若月 幸平

奈良県立医科大学 教育開発センター 消化器・総合外科

 私は1997年に奈良県立医科大学第一外科(現消化器・総合外科)に入局いたしましたが、入局当初は腹部手術のほとんどが開腹で行われておりました。そのため術後に麻痺性イレウスを経験することが多く、私と漢方との出会いは、麻痺性イレウスの治療として、シサプリドなどと大建中湯を併用したことから始まります。その後、上部消化管を専門にすることになり、漢方を使用する機会も増え、胃がん術後には六君子湯を、食道がん術後には補中益気湯や十全大補湯を、化学療法中には牛車腎気丸などを使用いたしました。ただし漢方を使用することはありましても漢方を学問として深く学ぶ機会はございませんでした。
 状況が一転いたしましたのは、私が2020年4月に教育開発センターの専任となり、前任の藤本眞一先生が医学科4年生対象の東洋医学の科目責任者をされていたことから、私がそのまま東洋医学の科目責任者を引き継いだことです。授業の担当は泌尿器科、耳鼻咽喉科、産婦人科、麻酔科の教員ならびに大和漢方医学薬学センターの三谷和男先生にお願いしておりましたが、私も科目責任者として単に自身が漢方を学ぶだけでなく、学生が興味を持って漢方を学ぶための教育方法を考えるようになりました。

 今回、タイミングよく2021年度漢方医学教育研究助成をいただくことになり、「ゲーミフィケーションを利用した漢方医学教育」という内容で、東洋医学の授業を使って学生がゲーム感覚で漢方に親しみ・学んでもらうことを目的に教育実践研究を行いました。本研究では、学生に授業内の課題(必須)ならびに授業外の自己学習用の課題(任意)を提供し、授業内・外両方の課題の正答状況をポイント制にいたしました。自主的に課題に取り組む学生はよりポイントが得られることになり、さらにはポイント獲得の上位10名程度を表彰対象とすることで約半数の学生が自主的に自己学習用の課題に取り組みました。また、東洋医学最後のまとめの授業では臨床症例を用いたグループワークで証や方について考える機会を設けることで、学生がゲーム感覚で自主的・協働的に漢方を学ぶことが出来たと感じています。実際に授業アンケートの結果でも、授業の参加度や満足度が高く、コース後には西洋医学とは違った漢方の効果や漢方の必要性が理解できたと回答していました。

 私は漢方の初学者ではありますが、西洋医学とともに漢方医学を学ぶことの大切さを痛感しており、今後も学生が漢方に対して興味を持ち、楽しく学べるような授業を考案できればと思っています。また、私自身も漢方医学を学問として深く学んでいきたいと考えていますので、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。最後に、外科でご指導頂いた先生方、また、東洋医学の授業にご尽力を頂きました本学泌尿器科、耳鼻咽喉科、産婦人科、麻酔科の先生方、ならびに多大なるご指導を頂いております三谷和男先生、「ゲーミフィケーションを利用した漢方医学教育」の教育実践を行う機会を頂きました日本漢方医学教育振興財団の関係者の皆様、そして本教育実践に参加して頂いた学生達に感謝申し上げます。